シンボルになったボルサリーノ

デザインの歩み

帽子の形状はジュゼッペ・ボルサリーノが考案したと言われています。
ボルサリーノの歩んだ道を振り返ってみましょう。

19世紀半ば、男性は山高帽を被り正装していました。
1869年のリソルジメント(イタリア統一運動)の際に、当時の下院議員クリスチアーノ・ロッビアが当時のイタリアの首都であり議会があったフィレンツェで暴徒に襲われました。この時にロッビアはステッキで頭部に一撃を受けて山高帽が凹みましたが、ロッビアはこれを名誉の負傷と考えてそのままの形状でかぶり続けました。このエピソードをきっかけにボルサリーノの帽子にこの中央が凹んだ独特の外観を持つスタイルが仲間入りしたのが始まりです。
下院議員に敬意を表して彼の名ロッビアと名付けられたこの帽子(ホンブルグ帽や中折れ帽とも呼ばれます)は、その後揺るぎないファッションアイテムとなりました。

 

20世紀初頭になると、女性の前で帽子を脱ぐことがマナーとなりました。
ところが、中折れ帽では素早く脱げません。
そこでジュゼッペ・ボルサリーノは、指で帽子の正面を挟み2つの窪みを入れた形状を考案しました。
この窪みに手をやり、帽子を脱ぐのです。
緻密なカーブと線を組み合わせた斬新な帽子は、たちまち世界中にイタリアンデザイン旋風を巻き起こし、「ボルサリーノ」の名称はオックスフォード英語辞典にまで掲載されるようになりました。

2009年にミラノで、その後に2017年3月には北京の中国国家博物館で、トリエンナーレ・デザイン・ミュージアムの企画による、ボルサリーノのデザイン展「Serie fuori serie(一連のシリーズ外)」が開催されました。
アレッサンドリアの工場に敬意を払い、フィリップ・スタルク氏からフロス社製の帽子ランプ、またモーリッツ・ワルデメイヤー氏から帽子像『The Hatband(帽子のリボン)』が贈られました。

 

映画『ボルサリーノ』

エレガントで唯一無二の魅力を備えたボルサリーノの帽子。
いつの時代にも色褪せず、輝き続けるクラシック帽は、男性にとっても女性にとっても、なくてはならないストリートファッションアイテムとなりました。
これまで多くのアーティストとコラボレーションし、様々な商品が生まれました。


カリフォルニアのデザイナー、ニック・フーケに初まり、トム・フォード、モスキーノ、ヨウジ・ヤマモト、マルニ、ジャンフランコ・フェレ、ロシャスなど。
ボルサリーノの帽子は、国際的なファッション誌に度々取り上げられ、世界中の有名人や著名人に愛されています。
また文化、芸術、デザインにおいても世界中から高い評価を得ています。

 

「品格を高めるのは帽子ではなく、それを着用する頭だ。」

ジュゼッペ・ボルサリーノ

 

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